『バナナは皮を食う』…(2)
なにかと忙しく、借りた本も、なかなか読めません。
『バナナは皮を食う』の選考は檀ふみさんで、
1年前(平成20年12月10日)に出版されたものなのですが、
この本に収められている「食に関するエッセイ」は、
「暮らしの手帖創刊号(昭和23年9月)」から、
第38号(昭和32年)に掲載されたものなのです。
(石井好子さん以外の、42名は故人となられています)
それゆえ、今とは食生活も違えば、
言葉遣いや漢字の使い方も違うので、新しい発見がありました。
戦後10年以上経ったとはいえ、
物質的には、現在は比較にならないくらい貧しかった当時、
食卓も、今よりも慎ましいものだったでしょうが、
そこには、今では失われつつある季節感があり、
何よりも、手間暇掛けてくれる母や妻の味がある…
すべてが、出来合いでは、決して味わうことの出来ない、
愛情のこもったものばかりだったでしょう。
どんなに質素な食卓であったとしても、
今の時代より、豊かな食生活だったように思えるのです。
こう感じるのも、一種の懐古趣味なのでしょうか?
…随筆の内容だけでなく、表現方法も、奥床しく豊かで美しい…
まさに、「昭和も遠くなりにけり」です。
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