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こだわり人物伝…「松本清張 孤高の国民作家」(4)

最終回のテーマは「タブーへの挑戦」、
出演は辻井喬(堤清二)さんで、『砂の器』を取り上げていました。

清張さんの本を、夢中で読んでいた時期もあって、
まだ、20冊以上の文庫本も残っているのに、
内容は忘れてしまった私ですが、『砂の器』だけは覚えています。

とは言っても、覚えているのは、
子供時代にハンセン病の父と旅していた作曲家が、
その秘密を守るために殺人を犯す…ということだけですが…

昔、ハンセン病は大変恐れられていて、
完治できる時代になっても偏見と差別は根強く残っていました。
正直のところ、私も無知故に恐れていた一人でした。

辻井さんは、それを「集合的無意識」(無意識の信じ込んでいる常識)の一種
と捉えていましたが、
第一の原因と責任は、隔離し続けた政策にあったのではないでしょうか?

清張さんも15歳の時から家族を養っていたことで、
経済的に貧しく、差別される側の人だったから、
タブーを背負った人々を、作品にしていたのでしょうね。
経済的に恵まれた家庭に育った、三島由紀夫とは大違いです。

現代文学全集に松本清張を加えることに、
三島由紀夫だけが反対したことは、有名なエピソードですが、
川端康成や谷崎潤一郎が説得しても、断固として認めようとはしなかったそうです。

生い立ちだけでなく、思想的にも正反対だったから、
松本清張を、文学の仲間と認めることは出来なかったのかもしれません。

松本清張原作は、映画やドラマで、何度も映像化されていますが、
御自身が評価していたのは、この『砂の器』と『張込み』の映画だけだったとか。

私が観たのは、NHKドラマの『天城越え』だけ…原作は読んでいませんが、
内容をというより、天城の風景が見たかったからなのですが…。

20091126
『砂の器』 松本清張/著 新潮文庫

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