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『女たちの山 シシャパンマに挑んだ女子隊9人の決算』…(2)

よほど後味が悪かったのか、それとも私が読んでないだけなのか、
田部井淳子さんの著書に、シシャパンマのことは、
書かれていなかったのですが、
北村節子さんの『ピッケルと口紅』には、その一部始終が書かれてありました。

本のタイトルは伏せてありましたが、
落合誓子さんの『女たちの山 シシャパンマに挑んだ女子隊9人の決算』
にも触れられてましたが、好印象ではなかったようでした。
あんなふうに書かれたのですから、当然でしょう。

ただ、一つのエピソードも、立場が替わると、
全くニュアンスが違ってしまうところが興味深かったです。

ドクター(加藤淑子さん)への取材を元に書かれたのでしょうが、
最終アタッカーの田部井隊長と北村さんが(高地協力員もいますが)
第5キャンプ(7350m)で、ベースキャンプのドクターとの体調報告の様子が
書かれてありました。

隊長は異常なしでしたが、北村さんの方は、命の綱である食料は忘れるし、
「…脈拍も異常で、心臓をギュッとわしづかみにされたような感じ…」
ということで、ドクターストップとなったとありました。

当然、北村さんは不満…
「登頂成功が目的ではなく、全員、無事帰国すること一番大事」
がモットーの田部井隊長が、
「節ちゃに何かがあったら、私は悔やんでも悔やみきれない」
と言って説得し、結果的に隊長だけ(と高所協力員)が登頂に成功。
とありました。

その一件から、
「北村さんの高所障害より、自分達の方が軽症なのに…」
「2人がアタッカーになることは最初から決めていたのでは…」
「自分達は利用されたのでは…」
と、隊長と北村さんに対し、隊員たちの不満や批判が増すことに…

でも、北村さんの『ピッケルと口紅』では、ドクターに
「“やっぱり高所だね。心臓が苦しかったよ…”と言ってしまったら、
それが命取りになり、ドクターストップがかかってしまった。
悪い冗談かと思った…それだけの根拠でドクターストップをかけるなんて」
などと、不満な書き方でした。

どちらが正しいのか、また、意図的かどうかも分かりませんが、
言葉の選び方次第で、随分印象が変わるものです。

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