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『いのちの初夜』

感染力はゼロに等しく、特効薬も開発されて完治出来るようになってからも、
完治しても、天刑病とも業病とも呼ばれて、言われなく差別を受け、
名前も戸籍も捨て、異界としか言いようのない施設に強制隔離され、
骨となってさえも、家族のお墓に入れなかった人達…
1996年に、防止法が廃止されるまでは…

無知ゆえに、私も差別の加害者側の一人だったことを反省しています。

私が、ハンセン病を知ったのは、『ベン・ハー』でした。
(チャールトン・ヘストンの映画ではなく、ルー・ウォーレスの小説です。)

なぜ『ベン・ハー』を読んだかと言えば、
『赤毛のアン』の中で、アンが友達から借りた『ベン・ハー』を、
授業中に夢中に読んでいて、ステーシー先生に取り上げられたから…

勉強熱心のアンが授業中に読んだのだから、よほど面白いに違いない。
私も是非読みたい…と思ったのです。

期待通り、面白かったのですが、ベン・ハーの母と姉の病気には、
まだ子供で、知らなかった私は、かなりショックではありましたが、
余りに遠い世界で、非現実的にも感じていました…

それから何年か後、ほとんど怖いもの見たさから(不謹慎ながら)、
北条民雄の私小説『いのちの初夜』を読みました。
身体を硬くし、全身から血の気が引く思いで読んでいたことを覚えています。

自分もそうだったらどうしよう…もう既にそうかもしれない…
夢に出てきたら…などと、恐怖で眠れませんでした。

『砂の器』を読む、ずっと前のことでした。

20091127
『いのちの初夜』 北条民雄/著 角川文庫
(1936年に発表された作品なので、青空文庫で読むことが出来ます。)

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