『太宰治の四字熟語辞典』
昔読んだ時には気付かなかったのですが、
太宰治の作品には、沢山の四字熟語が使われているように思えます。
中には見たこともないようなものもあって、いかに自分が無教養かということを、
思い知らされたのですが、図書館で借りた『太宰治の四字熟語辞典』によれば、
太宰は、多くのオリジナルの四字熟語を作っていたそうなのです。
それが、意図的に創作したものなのか、
それとも、誤用だったのかは、今となっては知る由もありませんが、
あれほど語彙の豊かな作家ですから、私は誤用ではないと思っているのです。
実は、6月頃だったでしょうか、
偶然、新聞の書評で『太宰治の四字熟語辞典』を知り、
すぐに借りようとしたのですが、同じように思う人が多かったらしく、
なかなか借りられませんでした。
(家の熟語辞典(下の写真)は開くこともないのに…)
この本の最後に取り上げられていた四字熟語は「人間失格」でした。
「人間失格」が四字熟語なのかどうかは分かりませんが、
タイトルを思えば、最後が「人間失格」で当然でしょう。
「人間失格」という言葉の初出は、『懶惰のの歌留多』で、
「人は、自分以上の仕事もできないし、自分以下の仕事もできない。
働かないものには、権利がない。人間失格。あたりまえのことである。」
というのものだそうです。
『人間失格』は、パビナール中毒で、1ヶ月間、脳病院へ強制的に入院させられ、
それによって、他人から廃人と見られていると思い込む。
脳病院での記憶が後々まで太宰を苦しめ、そして生まれたという…
「人間、失格
もはや、自分は、完全に、人間でなくなりました。」
1936年当時、「脳病院」に対する偏見は、
現在とは比べられない程だったでしょうから、無理ないような気がします。
『太宰治の四字熟語辞典』
円満字二郎/著 三省堂
『ど忘れ 二・三・四字熟語活用辞典』
本文イラスト 仙石ともつぐ/土屋智計/新堀 徹
人文社
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