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『アンジェラの灰』

『アンジェラの灰』の作者フランク・スコートが亡くなったそうです。
享年78歳。
本(回想録)は読んだことはありませんが、映画(1999)の方は観ました。
ずっと前のことなので、詳しくは覚えていませんが、とても暗く切ない内容でした。

フランクの両親(ロバート・カーライル、エミリー・ワトソン)は、
アメリカで出会い結婚して大勢(4~6人?)の子供を授かりますが、
仕事が無く貧しさゆえに、生後間もない愛娘を病気で亡くしてしまいます。
悲しみの余り寝込んでしまう母アンジェラ、
そして、今まで以上に酒に溺れる父(役名は忘れました)…

希望を失った一家は、生まれ故郷のアイルランドに帰るのですが、
そこでも仕事が無く、僅かなお金も父親の飲み代に消えてしまい、
栄養失調から次々失われていく幼い命たち…

送金を約束し出稼ぎに行った父親は、約束は果たせず、
無一文で戻ったのち、いたたまれず家を出て行ってしまう…

この映画は、どん底の環境の中でも夢を見失わず、
学び続けた少年(フランク・スコート)が主人公なのでしょうが、
印象に残っているのは、フランクでもなければ、
プライドを捨て、子供達のため頑張り続けた母でもないのです。
家族を愛しながらも、気持ちとは裏腹に破滅の人生を送ってしまう父でした。

アルコール依存症で、生活力のない父役のロバート・カーライルの演技が、
実に素晴らしかったです。
彼の悲しみが胸に染み込みました。
(ロバート・カーライルは魅力的な俳優さんです。どんな役でも素晴らしい。)

フランク自身には、明るい将来を暗示させるラストシーンでしたが、
父親のその後が気になって仕方ありませんでした。

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