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『回想の太宰治』…(5)

『回想の太宰治』は書き下ろしでは無いため、
時代が前後し、戸惑うこともありましたが、
制作の舞台裏や、金木町の山源(生家)についてなど
妻でなければ書けないものも多く、とても興味深かったです。

常に冷静に、そして驚くほど克明に記録し回想する、
それでいながら、事実というオブラートに包みながらも、
妻としての愚痴や嫌味が出てしまっていたところに人間味を感じました。

それにつけても、聡明な女性というのは、
夫については兎も角、御自身の不名誉になるようなことは、
決して書かないものなのですね。

また、幾度と無く「歿後」という言葉を使いながらも、
女性や、最期に関わる事には一切触れられてはいませんでした。

少なからず三面記事的好奇心があったのですが、
完全無視…というより言葉には表せないない屈辱だったのかも…

それはそれとして、
もし太宰治がこれを読んだなら何と言うのでしょうね?
「みち、何もそこまで書かなくたって…」と苦笑するのでしょうか?
それとも、
「頑張ったね。さすが文筆家の女房だな、良く書けてるよ。」
と褒めてくれるのでしょうか?

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