『草原の輝き』
“ 草原の輝きも 花の盛りも 戻っては来ない
だが嘆くのはよそう それよりも 今を強く生きることだ ”
.....William Wordsworth
『エデンの東』『欲望という名の電車』『波止場』など、
多くの名作を手がけたエリア・カザン監督の『草原の輝き』(1961)は、
辛く切ない青春映画でした。(エリア・カザンというと、
“仲間を売ってレッドパージを逃れた人”という印象が強いです。)
舞台は1920年代後半のカンザス、
高校生のバッド(ウォーレン・ベイティ)とディーニー(ナタリー・ウッド)は、
深く愛し合い、将来を誓い合った恋人同士、なのにラストは意外なものでした。
初恋の相手と、一生添い遂げる人達も、希にはいますが、
初恋とは、とかく、そういうものかも知れません。
バッドの父親は成金の豪君で、母親に発言権は無い。
姉が身を持ち崩してしまったのも、父親への反抗心からなのです。
バッドに、「女は2種類って、時々気晴らしに遊ぶ女と、結婚する女だ。
感情に任せて、責任取らされる様なことはするな。」などと
如何にも(昔の)男性が言いそうな事を教える父…
ディーニーの母親は、保守的な倫理観の持ち主で、
「男は尻軽な女を軽蔑する。そういう女とは結婚したがらない。」
と口を酸っぱくして釘を刺します…
バッドの父親も、ディーニーの母親も、打算的で世間体を気にする俗物…
世間に一番多いタイプなのです。
ディーニーが精神のバランスを崩し、2年半も精神病院に入院したのも、
自らが望む進路を、否定されたバッドが自暴自棄になったのも、
そして二人の一途な恋愛が、悲しい結末を迎えたのも、親のせい。
でも、もしバッドが結婚してしまわなかったなら、
ディーニーは病院で出会った医者との結婚を決めなかったでしょうし、
彼女の初恋は、最後の恋となっていたのでしょう。
私同様、同年代(同性)の友人は、
「ディーニーが可哀想、辛くて泣けた」と言っていましたが、
男性は、やっぱり、バッドに感情移入するのでしょうね?
それ以前に、男性が見たら詰まらない映画なのかも知れませんが…
親の価値観で、自分の人生が左右されてしまうだなんて、
現代人には考えられ無いのでは…?
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