フランス人形…
人形について、ちょっと残念な記憶があります。
まだ小さかった頃、
私は商店街のおもちゃ屋さん店先で、乳母車の中で待たされていました。
程無くして戻った母の両手には、それぞれ1体ずつの「フランス人形」があり、
「どっちが良い?」と聞くのです。
私が迷うことなく、「こっち」と指さした人形は、ブルネットで、
薄手の赤いツイード(たぶん?)のスカーフを被った、素朴な衣装でした。
でも、帰宅して、包みの中から現れたのは、
チュールのフリルがたっぷり付いたピンクのドレス姿で、
ブロンドの巻き毛の人形だったのです。
半分赤ちゃんの私でしたが、嬉しいと言うよりガッカリして、
人形に愛情が湧くことも無かったのす。
大きくなってから、「あっちの方が良かったのに…」と言った私に、
謝りながらも、「でも買った方が高かったのだから…」と言った母…
“金額なんて関係無い。親の好みで決めるなら、
最初から、私に選ばせなければ良かったのに…”
と思った事を、今も忘れません。
選択させられないままプレゼントされていた方が、喜びは大きかったでしょう。
「フランス人形」と言っていた人形、本当は、「ポーズ人形」かも知れません。
と言うより、フランス人形とポーズ人形の違いが、はっきりしません。
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