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『車輪の下に』

40日間の長く楽しいはずの夏休みなのに、沢山の宿題に憂鬱になりますね。
当人だけでなく、親の方も気が重くなるのですよ。

計算ドイルや漢字ドリルは、辛抱強くこなせば片づきますが、
自由研究や絵日記、工作、写生などは、親までウンザリします。
(ドリルなどは、親が採点しなくてはならないし…)

その他に、読書感想文があって…これがまた厄介なのですよ。
本が好きでも、読みたくない本を読まされるのは辛いですからね。
(近所に、父親の書いた感想文で、賞を取った小学生がいました。)

でも、“宿題は多く出して欲しい”と言う親もいるのですよ。
“うちの子は出されなければ勉強はしない。二学期に差が付く。”というわけ。
確かにそうかも知れませんが…

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左は、角川文庫『車輪の下に』(秋山六郎兵衛・訳)
    新潮文庫『車輪の下』(高橋健二・訳)
右は、人文書院「ヘッセ著作集」
    (訳・芳賀 檀(はが まゆみ)、高橋健二 全23冊)の一部 

私が中学1年の時、夏休み読書感想文の課題図書は、
ヘルマン・ヘッセの『車輪の下に』でした。

主人公のハンスは学業優秀で、親や教師達に期待され、
神学校受験のための猛勉強をし、次席で入学しましたが、
厳格で規則に縛られた寄宿舎生活に疑問を抱き、
学業にも身が入らなくなって中退…
繊細なハンスの心は、次第にバランスを失ってしまうのでした。

当時は、“せっかく苦労してエリート学校に入ったのに、勿体ない!”と、
ハンスの苦悩を理解できなかったのです。
まだ13歳の子供には難しいです。少なくとも私には…

でも、ヘッセは好きな作家の一人になりました。
高校の頃は、装丁が気に入っていた事もあって、
人文書院の「ヘッセ著作集」を、夢中で読みましたね。
中でも『漂泊の人(クヌルプ)』は特に好きで、何度となく読みました。

それにしても、100年以上前に書かれた青春期の苦悩と挫折は、
時代を超えた永遠のテーマのようです。
詰め込み主義も変わりません。

ヘッセの作品を知ったことで、
リルケやトーマス・マンなど、ドイツの作家を読むようになったのです。

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