『「赤毛のアン」の秘密』続き
まず、プリンス・エドワード島への取材旅行が紹介されていました。
“アン・フリーク(著者曰く)”が憧れる島の風景(海)については、
ただ大きいだけで変化に乏しく、“日本人”なら美しいとは思わない…そうです。
日本人なら、ではなく、“アンを否定する人には、”ではないの?
…と思いましたね。
アン・ファンの日本人観光客が多い事は、現地では不思議られていて、
今のカナダやアメリカの女の子にとって、
『赤毛のアン』は、もはや過去の物で、知らない人も多いとか。
今だに“アンの世界”に夢中になる日本人は、愚かで時代遅れのようですよ。
著者は、自分の教え子や友人達(それも“私から見ても知的な”)の多くが、
大人になっても『赤毛のアン』を語っているのが不思議で、
読み出したそうですから、“保守的で通俗的”と感じたのは当然でしょう。
まして、フェミニストですからね。
元々、モンゴメリの小説は、思春期の頃に読む本だと思うのですね。
大人になっても忘れられないのは、それだけ感動したと言うことではないの?
(歳は関係ないけれど)分別臭い顔で読む本では無いと思うのですよね。
成長過程で読んで感動したからって、
モンゴメリの小説が“純文学”だなんて思っていないし、
読書の喜びを知ったことで、他の書物に移行していくのではないでしょうか。
取材旅行で聞き知ったモンゴメリの最期については、
決定的な証拠が無いにも関わらず、あたかも事実の如く決め付けいました。
↓
著者に習って引用
モンゴメリが最大の悪意を以って描いたのは、
若くして当然のように結婚していく女である。
結婚する人生を自明のものとし、結婚に当たって何の葛藤もなく、
たくさんの子どもを産み、ぶくぶく太って、
田舎者で教養のない最低の女の典型として選ばれたのが、
他ならぬダイアナである。~略
~ダイアナが代表する「結婚するのが当たり前」で、
大学に行って将来作家になることなど想像したこともない大多数の
友人の人生を軽蔑し~略~(『「赤毛のアン」の秘密』より)
モンゴメリが、そう思っていたかの様に書かれていたけれど、
私には、著者自身がそう考えているとしか、思えませんでしたね。
ルーシー・モード・モンゴメリ(1874・11・30~1942・4・24)の生きた時代と、
現在とでは、育った環境も受けた教育も違うのだから、
比較し考察するのは構わないけれど、
現代人の感覚で批判するのは、どうなのでしょう。
(小説だけで無く)作品の見方にしても、
“何を言いたかったのか?”は、本当のところは作者にしか判らないはずなのに、
決め付けてしまうのは如何なものでしょう。
これ、よく試験にもあるけれど、
試験の模範解答を、作者自身が否定いていたことがありました。
私は、“女性の幸せは結婚”とは思っていません。
それは個人の問題です。
他人が批判したり軽蔑したりする事ではないと思うのです。
むしろ、“ダイアナ的な生き方”を軽蔑する人の方こそ、軽蔑しますね。
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コメント
I LOVE アボンリー様、
コメントしてくださって、どうもありがとうございました。
今までに、この本ほど不愉快なものは無かったから、
私と同じように感じた方がいらしたと知って、とても嬉しかったです。
実は、これでも押さえて書いたのですよ。
I LOVE アボンリー様、これからも宜しくお願いしますね。
投稿: Michi | 2008年6月14日 (土) 08:47
初めてコメント書かせて頂きます。
私もその本読みました!読み通したなんて、凄いです。私は、エミリーとテディについて書かれてるところで、あまりの酷さとハレンチさで辞めました!
モンゴメリーについて淫らな書き方をしていて、エミリーにもそうした要素が強い…と書いてましたから、唖然としてしまい…。マシューの死についても、あの書き方は悔しかったです…
「秘密」も何も、酷すぎるとしか言いようがない本と思いました。
ちなみに、サリバン フィルムズの「アンの夢の家」…あれもあまりにありえなかったので、驚きましたね(^^;)
アボンリーへの道もファンです。またコメントさせて頂きます♪
投稿: I LOVE アボンリー | 2008年6月14日 (土) 00:19