『フェビアの初恋』
『フェビアの初恋』(村岡花子・訳 新潮文庫)は、
原題をWhite Fawn(白い子鹿)と言って、オリーブ・ヒギンズ・プローティの小説です。
オリーブ・ヒギンズ・プローティと言っても、ピンと来ない方でも、
ベット・ミドラー主演の『ステラ』(1990)の原作、
『ステラ・ダラス』の作者と聞けば、お判りかも知れませんね。
『フェビアの初恋』は文庫本としては厚い本で、
40年前の金額は180円。
(昔の文庫本は、今より文字が小さかった。)
舞台は、20世紀初頭のボストン、
社交界デビューを迎えた少女の内面を描いた物語です。
内向的なフェビアにとって、社交界は苦痛でした。
そんなフェビアにも、相応しい男性との運命の出会いがあったのだけれど、
お約束の“身分違い”という壁が立ちはだかっていて…
モンゴメリの作品にも通じる事ですが、いわゆる少女趣味と言うか、
上流家庭のインテリアや、ドレスの素材やデザインなど、
形容詞過多な描写に、すっかり魅了させられたのでした。
自分の現実とは、あまりにもかけ離れていたにも関わらず(だからこそかも)、
感情移入してしまったのです。
数年前に再読してみたけれど、かつての感動が蘇ることも無く、
嫌でも、自分の年齢を実感させらたのでした。
ところで、あのブックカバーの美しい絵は、
誰の手によるものだったのでしょう?
書店で手にしたのも、その絵の美しさに惹かれたからでした。
故あって、今は掛かっていないブックカバー、
今となっては、あの美しい少女の絵は“まぼろし”だけど、
記憶の奥底から、微笑みかけてくれます。
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