『キャメロット・ガーデンの少女』
『キャメロット・ガーデンの少女(原題 Lawn Dogs)』(1997)は、
ちょっと怖い女の子が主人公です。
郊外にある住宅地「キャメロット・ガーデン」は、
高い塀に囲まれていて、排他的な雰囲気が漂っている…
そこに、10歳のデヴォン(ミーシャ・バートン)という名の少女が、
両親と引っ越して来ます。
住人は、いわゆる中産階級に属していて、
いかにも軽薄、特権意識丸出しの小市民ばかり…
デヴォンは、心臓の手術跡を、宝物のように思っている風変わりな少女で、
両親や住人の通俗的で胡散臭さを見抜き、侮蔑しているかの様子…
そんなデヴォンは、心を通える人も無く、一人空想の世界に遊んでいました。
ガール・スカウトで売る為の手作りクッキーを持ったデヴォンは、
母親に禁じられている森の中に入って行く…
↓
森の中には、捨てられたトレーラーがあって、
そこには「キャメロット・ガーデン」で蔑みの視線を浴びながらも、
芝刈りの仕事をしている青年のトレント(サム・ロックウェル)が暮らしていました。
デヴォンは、トレントを空想の中の魔法使い「バビヤガ」と思い込み、
近づくのですが、10歳の少女に付きまとわれたトレントの方は鬱陶しいだけ…
トレントは、執拗なデヴォンに閉口しながらも、次第に打ち解け、
疎外された者同士の、奇妙な友情が生まれるのでした。
しかし、2人のお伽の世界は、大人達の知るところとなり、
理解されるはずも無く、邪推され終りを迎えます。
(このあたりは『シベールの日曜日』を思い出します。)
そして、俗世間には居場所のない2人は、空想の世界へ旅立って行く…
この作品は、明るく開放的な映像とは裏腹に、
全体に漂う雰囲気は、とても不気味なのですよね。
「キャメロット・ガーデン」自体、外部と遮断された魔界のようで異様な感じ、
美しい外観の豪邸も、空虚なのに威圧的で、妖怪の住み家みたい…
デヴォンという少女も、悪魔的な要素を感じましたし、
トレントにしても、凶暴性を秘めているようで不気味だった…
デヴォンの両親を代表とした、その他の人間だけが、普通の人なのですが、
現実的で、辟易するくらい低俗なのですね。
非常に現実的な部分と、得体の知れない幻想的な部分があって、
単なるファンタジー作品なのか、少女の空想の世界なのか…
あまりに唐突な結末にしても、単細胞の私にとっては理解しがたく、
混乱が増すばかりでした。
この作品はファンタジーなのでしょうが、私には、ホラーにも思えたのでした。
| 固定リンク
「* 映画」カテゴリの記事
- 「婚前特急」(2011)(2014.11.26)
- 『早春物語』(赤川次郎・著)(2014.11.06)
- 『早春物語』(1985)(2014.11.03)
- 「我が大草原の母」(2010)(2014.07.01)
- イーハトーヴ(2014.03.19)
最近のコメント