「痛みが美に変わる時」
毎回、期待を裏切られることのないETV特集、
先日の「痛みが美に変わる時~画家・松井冬子の世界」も素晴らしかった。
松井冬子さんは、女性初の東京芸術大学日本画専攻の博士号を取得された、
若手の日本画家。
以前、初めて松井さんを知った時、彼女の容貌の美しさとは裏腹に、
作品のグロテスクさには、強い衝撃を受けたのでしたが、
今回の番組で、制作過程の密着を見られたことで、
芸術家としての確かさと、絵画に対する一途さを知りました。
鎌倉時代の「九相詩絵巻」も、
内容としては、充分恐ろしい絵には違い無いけれど、
絵自体が少し漫画的なため、現実みを感じないのです。
でも、松井さんの作品は、とにかく怖いのです。
そして、円山応挙の幽霊画に共通する、
写実的でありながら、幽玄な美しさもあるのです。
ただ、応挙の幽霊画には、リアルの中にも、優しさがある様に思えるけれど、
松井さんの作品は、
自ら内蔵を暴き見せつけながらも、微かな笑みを浮かべている女性など、
おぞましいまでの執念や狂気が迫って来て、目を背けたくなるのですよ。
それでいて、映画の恐ろしいシーンを、目隠しした指の間から見てしまう様に、
見ずにはいられない魔力が潜んでいるようにも思えるけれど…
とは言っても、ネズミの解剖など出来ない私には、到底理解し難く、
展覧会には行けたとしても、画集を買おうとは思いませんね。
(手元にあるのは怖いから…)
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