住井すゑ
『橋のない川』の作者、住井すゑさんは、好きな作家の一人です。
好きというより、尊敬する作家と言った方が、相応しいかも知れません。
『橋のない川』(新潮社)(第1~6部…第7部は未読)シリーズ以外では、
随筆の『牛久沼のほとり』(暮らしの手帖社)や『八十歳の宣言』(人文書院)、
児童向けの『夜明け朝明け』などを読みましたが、
戦前戦中に書かれたものについては、読んだことがありません。
住井すゑさんの夫は、農民文学者の犬田卯ですが、病弱だったので、
生活は、住井さんの肩に掛かっていたようです。
今の時代ならともかく、女性の執筆のみで、6人家族の暮らしを支え、
その上、4人の子供さんを、最高学府まで進ませたのですから凄いですよ。
でも、私が、最も尊敬するところは、住井さんの「自由平等思想」なのです。
彼女が「天皇制」を否定していたのも、
そこには、人としての、自由が存在しないからなのです。
天皇家に生まれた人間には、生涯「自由」はないのですから。
生活だけは保証されているけれど、
職業選択の自由も、言論の自由も無いのです。
死ぬまで、「籠の鳥」状態…そこに「基本的人権」なんて存在しないですよ。
私は「天皇制」について、とやかく言うつもりも無いし、
天皇家の人達についても、否定するつもりもありません。
むしろ、どちらかと言えば、好感の持てる人ばかりです。
それだけに、国家に飼い殺しされているようでもあり、
人身御供にされているようにも思えて、お気の毒で仕方ないのです。
左 『牛久沼のほとり』 住井すゑ 暮らしの手帖社
中 『牛久沼のほとり』 住井すゑ 暮らしの手帖社
右 『橋のない川』(1~6) 住井すゑ 新潮社
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