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『愛と死をみつめて』(1964)

『愛と死をみつめて』という映画がありました。
大島みち子さんと河野実さんの書簡集の映画化で、
TVでもドラマ化されましたが、
私が観たのは、吉永小百合さんと浜田光夫さんの作品だけ。

青山和子さんの、“マコ、甘えてばかりでごめんね…”で始まる歌も大ヒットし、
聴くだけでも泣けてしまう人もいたのでしょうが、
余りにヒットし過ぎて、耳にタコが出来た程…

私は、小百合さんが歌った主題歌、「愛と死のテーマ」の方が好き。
“あなたのこと、マコって呼んでいい?わたしミコ、
マコとミコ、ミコとマコ、とってもいい感じよ。うれしいわ”
のセリフがちょっぴり照れくさく、乙女チックな詩でしたけれど…

大島みち子さんのイメージは、清楚で知的な小百合さんそのもの、
学生服姿の浜田さんも、誠実そうな苦学生にピッタリ…
逢えない臨終シーンは、何度観ても必ず泣けてしまったのでした。

2冊の本はベストセラーとなり、映画、ドラマ、歌も大ヒットで、
河野さんの将来はどうなるのだろう?一生結婚出来ないのでは…?
などと、当時子供だった私ですが、人ごとながら気になってしまいましたが…

ところが、最近、聞いた話しでは、
河野さんは、結婚されていたとのこと…
それも、“割とすぐに”…

本は売れ、映画その他は大ヒットし、
莫大な印税を得た上に、間もなく結婚していただなんて…
考えられないことには、みち子さんの死の直後に出版の準備をされたとか…

余りにも可哀想なみち子さん…
本当にみち子さんを愛していたのでしょうか…?

愛していたのはみち子さんの方だけ…?
彼の方は、“不治の病”の恋人を重荷に感じていたのでは?
みち子さんが亡くなった途端、
魂のこもったプライバシーを、金儲けに利用したのでは?

まさか、そんなことは無いとは思うけれど、
とても不愉快な気分で、少なからずショックでした。
こんな酷い人がモデルのマコ役をやった浜田さんが、お気の毒に感じた程です。

若くして亡くなった恋人だけを胸に、一生を送ることは不可能ですし、
そうする必要もないけれど、それにしても…

いくら最近知ったとは言え、それも、もう大昔の出来事、
今更、私が憤慨することこそ、愚の骨頂ということなのでしょうが…

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