『ワイルド・スワン』
書店の前を素通り出来ない私には、
たまに、思い掛けない素晴らしい出会いが待っています。
15年くらい前に出会った、『ワイルド・スワン』(上・下刊、講談社)も、
そんな一冊でした。
著者は、中国生まれで、イギリス在住の中国人女性、ユン・チアン…
この本は、中国の軍閥時代、日本による侵略時代、抗日戦争時代、
中国革命、文化大革命、そして、その後を生きた彼女の祖母、母、
ユン・チアン自身の人生が描かれていました。
中でも、彼女の祖母と母の生涯については、特別詳しく描かれていました。
お祖母さまは、女性が“纏足(てんそく)”をされていた時代の方で、
その辛さなどは想像に難くないものでした。
中国の歴史に、国家としての日本も、大きく関わっていたことを考えると、
決して、他人事では済まされないことですし、
現在もなお、根強く反日感情が存在していることも頷けます。
この一族だけでなく、動乱と激動の中国に生きた中国の人達に比べたら、
(また、同年代の著者が「紅衛兵」で体験したことを考えても、)
平和で安穏とした時代を送り、ぬるま湯に漬かっていた自身を思うと、
恥ずかくもあり、また日本人の一人として、申し訳なくも感じたのでした。
世界の多くの国で翻訳出版され、いずれもベストセラーになっていますが、
本国の中国では、今後も出版される見込みはなさそうです。
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