『泥だらけの純情』
藤原審爾原作の『泥だらけの純情』(1963年)は、
吉永小百合さん、浜田光夫さんコンビの代表作の一つですよね。
外交官令嬢・真美(吉永)と、チンピラ・次郎(浜田)の、
住む世界の違う二人の、余りにも切ない純愛物語です。
まだ、お二人ともニキビがあったりで、とても若々しかった。
特に浜田さんは、颯爽としていて、本当に輝いていましたね。
また、和枝役の和泉雅子さんも、とっても可愛らしかったです。
主役は吉永さんなのでしょうが、
題名自体も次郎のことのように思えるし、登場シーンの多さから言っても、
また、ラストのセリフ(「不器用だな。オレって。」)から言っても、
主役は次郎に思えて仕方ないのですが(Fools and Kings)
ネタバレ↓
この映画には、素敵なセリフが沢山ありました。
次郎のセリフでは、
「バカにするねぇ、オレは可哀想だと思ったから助けてやったんだ。
銭が欲しかったからと思われたんじゃ、かなわねぇ。
ありがとうの一言でいい、ちゃんと言いに来てくれりゃあ、それでいいんだよ。
受け取れません!
銭で万事方が付くって根性が頭に来たって、そう言ってください。」とか、
真美に包帯をして貰った時の、
「消毒しときなよ。汚いぞ、オレの手。」など。
真美のセリフでは、
「ママに初めてついた嘘ですから、誰にも言わずに、しまっておきたいんです。」
「さっきのママへの電話、“一番大好きなお友達と遊んでいます。”って」とか、
「この頃ママに嘘ばっかりついてるの。あなたに嘘をつきたくないから。」とか、
母親が次郎に取った態度に、「ママ!!ママは真美の敵よ!」などなど。
ところで、その外交官夫人の母親が、
「…アルジェリアは砂漠とモンスーンとテロの国でしょ…」と言っていました。
確かにその通り、でも今なら問題になるセリフでは…?
(私はBS2でしか観てないのですが)セリフと言えば、
放送禁止用語だからでしょうが、音声を消された箇所が多くガッカリしました。
作品にとって、無駄なセリフは一つも無いと思うから、とても残念でした。
特に次郎が、
「オレのオヤジは○○なんだぞ!、オレのおふくろは○○だぞ!
二度と来やがるな!」…
これ、気になって仕方ない、是非オリジナルを観たいですよ。
私が一番好きなシーンは、
真美が、駅のホームで、半分ずつにしたピーナツを手袋に入れ、
その白い手袋で、電車の窓越しにバイバイするシーンや、
お互いの習慣を真似してみるところ…
また、ラスト近くの、雪の中でふざけ合う二人の楽しげな様子の所も…
でも、短かった人生の中で、最も幸せなひとときだったのかと思うと辛くなります。
『ガラスの中の少女』の時も書いたのだけれど、
『泥だらけの純情』って、『ガラスの中の少女』に似てると思うのですが…
それから、不協和音は、私も眠くなりますよ。
<時代を感じさせる言葉>
不良化…非行化(非行と不良は違いますが)
下検分…下見
<映画の中の物価(昭和38年頃)>
樺島家から次郎への謝礼…50.000円
駅の売店のピーナツ…50円
次郎が買った紳士靴…7.000円
以上です。
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