にくきもの
『枕草子』って、本当に時代を超越していますよね。
例えば、こんなのがありました。
にくきもの
<原文>
急ぐことあるをりに来て、長言するまらうど。
あなづりやすき人ならば、「後に」とても、やりつべけれど、
さすがに心はづかしき人、いとにくく、むつかし。
<口語訳>
急ぎの用事がある時に、急に来て、長居をするお客さんて憎らしいですよ。
目下の人なら「後でね」と言って帰って貰うことも出来ますが、
目上の人には、そうもいかないので、ほんと困ります。
<原文>
ものうらやみし、身の上嘆き、人の上言ひ、露ばかりのこともゆかしがり、
聞かまほしうして、言ひ知らせぬをば、怨じそしり、また僅かに聞き得たることをば、
わがもとより知りたることのやうに、異人にも語りしらぶるも、いとにくし。
<口語訳>
何でもうらやましがったり、愚痴を言ったり、人の噂をしたりして、
ちょっとした話題にも、聞きたがって、話さないと、逆恨みする人は嫌ですよ。
また、人伝に聞いた事を、いかにも最初から自分が知っていたかの様に
尾ヒレを付けて喋る人も、嫌です。
<原文>
ねぶたしと思ひて臥したるに、蚊の細声にわびしげに名のりて、
顔のほどに飛びありく。羽風さへ、その身のほどにあるこそ、いとにくけれ。
<口語訳>
眠くなって、横になったのに、蚊がブ~ンと、顔の周りに飛ぶ。
その羽音さえ、憎らしく感じるのですよ。…(以上、現代訳は我流です。)
…現代人と同じなんですね。
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