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『アデルの恋の物語』

 時々、メディアにより、ストーカーによる被害の模様を、知らされますが、
この作品のヒロインは、究極のストーカーと言っていいでしょう。

 トリュフォー監督のフランス映画『アデルの恋の物語』(1975年)の原作は、
フランセス・ヴァーノア・ギールの『アデル・ユーゴーの日記』です。
そうなんです、実際にアデルは居たのです。

 ヒロインは、フランスの文豪ビクトル・ユーゴーの次女の、
アデル・ユーゴーで、この映画は、彼女の激しくも悲しい愛の物語なのです。
(男性が観たら、多分「ホラー映画」にも感じるかも知れませんね。)

 アデル役は、イザベル・アジャーニで、フランスの美しい女優さんですが、
美しいだけに、余計に異常さを感じてしまうこともありますね。


 1863年、33歳のアデルは唯一人、カナダのハリファックスに降り立ちます。
そこは、初恋の英国騎兵中尉、アルバート・ピンソンの赴任先でした。

 ハリファックスのみならず、彼の赴任地が変わるたび、
どこまでも、執拗に追い掛けるのでした。

 彼女が取った行動は、普通なら到底考えられないことばかりで、
それは、一途な恋とか、激しい愛とかいったものでは無く、
常軌を逸しているとしか、言いようがないのです。

 「もう、いい加減にして!…早く目を覚まして!…」と、
余りの執拗さに、観ていてウンザリする位ですから、
相手の男性には、全くの災難、お気の毒としか言いようがありません。

 結局、アデルは父親によって、サン・マルテの精神病院に入れられ、
そこで40年間も過ごし、1915年4月25日亡くなったのでした。
その間、日記を書き続けて…

 愛する余り、精神のバランスが崩れたとも言えるのですが、
私には、先天的な要素があった様にも思えるのですよね。

 と言うのも、ビクトル・ユーゴーの次兄ウジェーヌは、
失恋から発狂し、入院先のシャラントン精神病院で
37歳の時、自殺したからなのです。単なる偶然でしょうが…

  <参考>
 アデル・ユーゴー(1830年7月28日~1915年4月25日)
 父、ビクトル・ユーゴー(1802年2月26日~1885年5月22日)
 伯父 ウジェーヌ・ユーゴー(1800年9月16日~1837年3月5日)

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