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『初恋のきた道』

中国映画『初恋のきた道』(2000年)は、「良かった。感動した。」
という感想ばかり聞かされていたためなのか、期待し過ぎていました。

都会で働く息子の元に、父親急死の知らせが届きます。
帰郷した息子が見たのは、昔のしきたり通りの葬儀に固執する、
老いた母の姿…

その母が父と出会った頃の話しになると、それまでのモノクロの暗い画面が、
明るく美しいカラー映像に一転します。

この映画を観終わって思ったことは、
「これは、男性の願望に違い無い!
チャン・ツィイーみたいな可愛い女の子から、あれ程まで一途に尽くされたい、
という永遠のメルヘンであり、ロマンなのでは?…」
ということでした。

良かったと言っていた人も、ほとんどは男性だったのでは?
でも、もし外見が違っていたら、うっとうしいだけの様な気もして…

映像の美しさと、チャン・ツィイーの可憐さばかりが強調されて…
例えば、衣装なども、他の少女達とは、まるで違うし、
ヒロイン一人だけ場違いな程、顔も身なりも綺麗なんですよね。

息子の回想なのだから、ヒロインだけでなく、
いっそのこと、全てがメルヘンチックに仕上げた方が良かった様にも
思いましたが。

現在に戻った途端、現実に引き戻されたというか、夢から覚めたというか、
あんなに健気で可憐な少女が、こんなにも頑固な老婆になってしまうのかと、
時の残酷さ、空しさを見せ付けられた思いで、ぞっとしました。

現在の姿を見ると、少女の頃の姿は、“美化しすぎじゃないの?”
と、ツッコミを入れたくなりましたね。

息子の思い出の中だけにとどめ、現在の母親の姿は見せなくても、
と思いましたね。
せめて、後ろ姿だけにするとか…

どんな作品にも言えることなのでしょうが、
ヒロインは美少女でなくては、成り立たないのでしょうね。
特に、この作品は…何しろ男性の願望と思われますから。

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