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『ブーベの恋人』(1963年 イタリア)

『ブーベの恋人』は、カルロ・カッソーラの同名小説の映画化で、
村娘マーラ(クラウディア・カルディナーレ)と、
パルチザンのブーベ(ジョージ・チャキリス)の悲恋物語です。

原作本については、その昔、買って読んだということだけは覚えていますが、
その本は行方不明で、読後感の記憶さえありません。
でも、映画を観た時の感動は、今でも鮮明に覚えています。

二人の出会いは、ブーベが戦友(マーラの腹違いの兄)の最期を伝えるため、
マーラの家に立ち寄ったことでした。

イタリアの男性と言えば、“陽気でドンファン”と相場が決まっているようですが、
(単なる固定観念かも?)どんな場合でも、例外はあるもので、
ブーベは、その例外のタイプなんですね。
ただ、彼の置かれている状況を思えば、陽気でいられる筈も無いけれど…

ところで、ブーベから、落下傘の絹地を貰ったマーラは、
それでブラウスを作ったのですが、
当時(戦後間もない頃)は、どこの国でも物資が乏しく、
落下傘の白い上質な絹地は、女性の憧れの的だったそうです。
それを染めて、ブラウスやワンピースにしたのだとか…なんて贅沢な!

ダンスの得意なジョージ・チャキリスですが、踊ってない役でも素敵でしたね。
ギリシャ系の彼の鼻は高く、憂いに満ちた横顔に魅了されたものです。

寡黙なブーベに比べ、ちょっと“蓮っ葉な”感じのマーラは、
ブーベに、買って貰った“ヘビ皮のハイヒール”が、よく似合ってたけど、
それにしても、ヘビ皮のハイヒールって…凄いですよね!

そんなマーラも、町で働くようになると一転して、一途で、
強い大人の女性に成長して行ったのです。

町で知り合ったステファノという男性、ブーベに比べて、
何の魅力も感じなくて…
自分本位と言うか、普通過ぎると言うか…
マーラと別れた後、結局、婚約者とは別の女性と結婚してしまったし…

この映画は、モノクロ映像が美しく、また、主演の二人も魅力的だったのは
言うまでもないけど、
それ以上に素晴らしかったのが、あのテーマ音楽だったと思います。
曲が流れるたびに、切なく、物悲しく、
やるせな~い気分になってしまうんですよね。

この曲には、当時、日本語の詩が付けられていたはずですが、
歌っていたのは誰だったのでしょう…?

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