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『變臉(へんめん)~この櫂に手をそえて~』つづき

この映画の中で、“変面王”が、芸を伝えるために、
8歳の男の子を買ったのですが、実は女の子だった…

女の子ゆえに売られ、女の子ゆえに捨てられること7回…
またしても捨てられる運命、でもワンは、結果的には捨てなかったばかりか、
“じいちゃん”と呼ばせ、男子にしか許されない伝統芸も教えたのです。

もちろん、ワンが、人情の厚い人だったこともありますが、
それ以上に、クーワーが“変面王”に、とことん尽くしたからなのです。
もう、捨てられたくなかったから…

また“生き観音”と呼ばれ、人々に崇められている歌劇の女形スターの
“リャン”も、女形と言うことで自分を卑下していました。
彼もまた、華やかな世界とは裏腹に、悲しみを背負った、
“いい人”だったのです。

中国において、男尊女卑は過去のものではありません。
以前、『尼寺で育つ7人の少女』というドキュメンタリー番組がありましたが、
中国では一人っ子政策のために、産まれた子供が女児の場合、
捨てられるケースが少なくないのだそうです。特に地方の山間部では。

福建省のその尼寺には、生後間もない女児が、半年間で40人も
捨てられていたとのことでした。

山間部の農作業は厳しく、子供であっても動労力であるのわけで、
女の子では、体力的にとても役に立たないばかりか、
苦労して育てても、大きくなれば親を捨てて出て行ってしまう。(お嫁に行くこと)

それでも、険しい山道を、何時間も掛けて“尼寺”に捨てに行くのは、
“尼寺なら大切に育てて貰えるのでは?”と言う、せめてもの“親心”なのです。

現在では、“男尊女卑”と言うより、“一人っ子政策”と、“貧しさ”が、
女の子が捨てられる結果になっているのかも知れません。

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