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『尼僧の恋 マリアの涙』… part2

7歳から12年間、修道院で過ごして来たマリアにとって、
家族の住む世界は余りにも世俗的で、居心地が良いはずはありません。

それでもマリアは、鉄格子の無い窓から美しいエトナ山を眺めたり、
輝く緑の中を駆けたりと修道院では決して味わえない、
ささやかな自由を知るのでした。

マリアを愛しながらも、後妻の言いなりで発言権のない父親ですが、
父親にとっては、後妻の子供達も可愛い我が子なのです。
結局は、マリアを不憫に思いながらも、現在の家族も大事なのでしょう。

7歳のマリアを修道院に入れてしまった、非情な継母マチルダは、
常に何かを企んでる打算的な人間ですが、子供にとっては良い母です。
母親なら、先妻の娘より、実子の方が可愛いに決まっています。
マリアは邪魔でしかないのも当然です。

マチルダの娘のジュディッタ(マリアの義妹)は、意外にも普通の女の子で、
姉思いでさえあるのです。

ジュディッタが友達の兄であるニーノを想っていることを、
双方の家族にとって暗黙の了解なことなのですが、
肝心のニーノの気持はどうなのでしょう?
多分、妹ぐらいにしか思っていなかったような気がしますが…

ニーノは弁護士を目指している大学生で、
“本当の夢は世界中を旅すること、このまま人生を終わらせたくない。
月曜から金曜日まで机に向かっているなんて…”
と、マリアに、心のたけを打ち明けるのでした。

でも、恋の意味さえ知らず、
“優しく愛情に溢れ、ひたむきで誠実な男性こそ悪魔の手先”
と、教えられているマリアにとって、ニーノとの出会いは、
苦悩の始まりでしかなかった。

ニーノから、“信じてくれ、君しか愛せない。”と、告白されても、
マリアは扉の内側で、“神さま、私は主のしもべです。
誘惑からお救いを・・・”と、泣きながら祈るだけ・・・

無言の拒絶に絶望したニーノは去り、やがてマリアも修道院に戻るのですが、
ニーノのことを忘れられず、次第に精神のバランスを崩してしまうのです。

そんなマリアを、家に帰そうとする院長でしたが、
それをマチルダが許すはずもありません。

マリアに拒絶されたニーノは、やがて弁護士になり、全てを諦めたかのように、
ジュディッタと結婚してしまいます。
ニーノもマリアと同様、自由に生きることが許されない運命だったのです。

しかも結婚式はマリアの教会…
マリアの姿を探しているような様子で、
誓いの“イエス”をなかなか言おうとしないニーノ…

その上、2人の新居は修道院とは、目と鼻の先で、日曜の礼拝でも、
ニーノ夫妻はやって来るのです。
修道院の窓や屋上からは、ニーノの姿が見え、声も聞こえる…
余りにも残酷!

新居のバルコニーにいる時、マリアを探し求めているかのように、
いつでも修道院の方を見つめているニーノ…

精神に異常をきたし、独居房に幽閉されているシスター・アガタの世話を
するようになったマリアは、
“シスター・アガタは自分の将来の姿”と悟り、
嵐の中を、裸足で修道院を逃げ出すのでした…ニーノに逢いに…

                              <字幕=戸田奈津子>

ところで、
マリアには2歳の時から修道院で共に過ごして来た、
マリアンナという親友がいました。
マリアンナは同じ環境で成長したにも関わらず、マリアとは違って、
変に醒めているのに、鋭い洞察力の持ち主で、マチルダに対しても、
きっぱりと批判するのです。
でも、コレラが沈静化した後の修道院で、マリアンヌの姿がなかったのは何故
なのでしょう?
(原作を読んでいないので、その辺りが疑問でしたが。)

また、マリアたちを直接指導するシスターの言葉が、シスターとも思えないほど
人間的だったのも、とても意外でした。

是非、原作を読みたいです。

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