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『ストーリー・ガール』 (1)

架空の地名でありながら、余りにも有名な“アボンリー(アヴォンリー)”は、
カナダ、プリンス・エドワード島に実在する“キャベンディッシュ”がモデル。

これは、モンゴメリを愛読する人なら、誰でも知っている事でしょう。
アボンリーと言う地名ですが、
私が知る限り『アン・シリーズ』だけのものだと思います。

ドラマ『アボンリーへの道』の原作の一つでもある、
L・M・モンゴメリの小説『ストーリー・ガール』シリーズ
(木村由利子訳 篠崎書林)の舞台も、
アボンリーではなくて、カーライルなのですね。

ところで、当然『アボンリーへの道』と、『ストーリー・ガール』には、
よく似た箇所がありますが、その一つに、こんな会話がありました。

第1話「プリンス・エドワード島へ」では、
セーラと乳母のルイザが、プリンス・エドワード島、アボンリーにある
ローズコテージに到着した晩、今は亡き母ルースが使っていた部屋での、
セーラとルイザの会話…

「今鳴いているカエルの声を、ママも聞いたのかしら?」(セーラ)
「カエルって、そんなに長生き?おんなじカエルじゃないわね。」(ルイザ)
「そうよね。じゃあ、きっと、孫ガエル位だわ。」(セーラ)

『ストーリー・ガール』の第一章「ふるさとの家」でも、
ベバリー・キング(僕)と弟のフェリックス・キングが、父親の故郷である
プリンス・エドワード島、カーライルのキング農場に着いた晩、
父親が昔使っていた部屋で、こんな会話をしていました。

「ねえ考えてごらんよ。
あいつ達、お父さんが子供の頃聞いたのと同じカエルなんだよ。」
とフェリックスが囁いた。
「まさか、同じカエルのはずがないだろ。」
カエルの寿命がどれくらいか確信なかったものの、
僕は疑わしげに反論した。
「お父さんが家を出て、20年になるんだぜ。」
「とにかく、お父さんの聞いたカエルの子孫だろう。
それに、同じ沼地で歌ってるんだしさ…」

訳者が別で、人物設定が違うので表現は違いますが、
内容的には、ほとんど同じですね。

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