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『シザーハンズ』

ジョニー・デップの出演作品は、ほとんど観ましたが、
中でも、『シザーハンズ』は、印象深い作品でした。

ベッドの中の少女とお祖母さん、窓の外は雪…
100年位昔の、おとぎ話に出てくるような雰囲気で、
否が応でも、これから始まるお話が、“ファンタジー”だと解らせてくれます。
“なぜ雪は降るの?”、孫の問いに語り出すお祖母さん…
(孫というより、どう見ても、ひ孫ですが…)

20070519

場面は打って変わって、1960年代後半(たぶん)の世界…
時代が遡るというより、プロローグの雰囲気に比べると、
逆に未来の世界みたいなんです。

化粧品のセールスレディーのペグ(ダイアン・ウィースト)は、
新規の顧客獲得のために、山の上のお屋敷に行くのですが、
そこにいたのは両手がハサミの青年只一人。
ハサミで傷付き、悲しげな顔をした彼に同情したペグは、家に連れて帰ります。

青年は人造人間の“エドワード”(ジョニー・デップ)…
発明家の死後、彼がどれくらいの時を一人で過ごしていたか気になります。
何年?何十年?何百年?…

エドワードに夫の服を着せたり、顔にクリームを塗ってやったりと、
どこまでも親切なペグ、善意と母性の人ですね。

暇を持て余している噂好きの主婦や、ヘンな宗教に洗脳されている主婦など、
近所の人達に比べ、ペグとペグの夫は、本当にいい人なんです。

食事の時、料理を上手く取れないエドワードを、つい見てしまう息子に
見ないように注意するペグには笑えました。
また、「大金が詰まったカバンを見付けたらどうする?」の質問に、
四択で答えさせ、善悪を教えるペグの夫や、
エドワードとジャンケンをしようとする息子なども、可笑しかったです。

最初は、ハサミでウォーターベッドに穴を開けてしまったり
(クッションを置くと水が止まる!)
と失敗もあったけど、両手がハサミだけあって、植木の刈り込みや、
ペットや女性のヘアーカットも天才的なんです。
きっと、その様にプログラミングされていたのでしょうね。

始めは距離を置いていたキム(ウィノナ・ライダー)も、ボーイフレンドとは違う、
エドワードの無垢な心を知るうちに、二人の心は次第に近付くのですが…
最後はあれよあれよという間に、あっけなく結末を迎えてしまうのです。

“エドワードは永遠に年を取らないのに、自分(キム)は、やがて老いていく、
そんな姿は見られたくない。
若く美しいままの姿を記憶に留めていて欲しい…”この気持分かります!
…なんて切ないのでしょう。

一人で今も山にいて、氷を削っているエドワード…
でも、夏はどうするの?と、つい思ってしまう人に、
ファンタジーを観る資格は無いですね。

ところで昔、『スクリーン』に、マイケル・ジャクソンが
エドワード役の候補だったと、載っていたことがありましたが、
ジョニー・デップで本当に良かったです。

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