『變臉(へんめん)~この櫂に手をそえて~』
『變臉(へんめん)~この櫂に手をそえて~』は1996年中国の作品で、
舞台は20世紀初頭の中国、“へんめん”とは瞬時にお面を変えていく、
中国四川省の伝統芸術です。
この作品を観れば、泣けてしまうこと請け合いです。
“変面王”と呼ばれる大道芸人ワンは、家財道具を積んだ小舟に寝起きして、
「将軍」という名の猿と共に、行く先々で芸を披露して生計を立てていましたが、
高齢で家族の無いワンにとっての気掛かりは、
伝承者の男子が居ないことでした。
そこで彼は、8歳の少年を買い(何と、人身売買!)、
その子をクーワーと名付け、自分の孫として愛情を掛け、
芸を仕込むのですが、
ある時、クーワーが実は女の子だと気付いてしまうのです。
女の子は必要ないと追い出そうとするワンでしたが、
泣いて懇願するクーワーに、仕方なく連れて行くことに…
ただし、それまでのように「おじいちゃん」ではなく、「旦那様」と呼ばせて…
主役のチュ・シュイは、ドラマ『大地の子』に出ていた実力俳優さんなので、
演技力があるのは当然ですが、クーワー役の少女が実に上手いのです。
このクーワーの、健気で一途な“尽くす姿”には泣かされます。
時として、それが裏目に出てしまうところが、
またハラハラさせられもするのですが…
映像的には暗く、色彩も決して、“美しい”とは言えないのですが、
見終わった時、深い感動と満足感で一杯になり、貧しくても、孤独でも、
人の心は“美しい”ものだと気付かせてくれた作品でした。
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